当院では腰痛が強い方で患者さんのご希望があれば初診時からでも超音波ガイド下にブロック注射を行っています。
腰痛の原因を特定し、超音波を使うことでピンポイントに神経や関節、椎間板などに炎症を抑える薬液を注入し、即効性のある除痛治療が可能です。症状がつらい場合は積極的に治療するのが良いと考えています。
通常の腰痛は筋筋膜、椎間関節、椎間板、神経根、仙腸関節などから起きます。腰痛の原因をいち早く特定し、即効性のある治療を心がけています。
実際の例を見てみましょう
この方は4ヶ月前から庭仕事をすると腰が重くなって痛い、という症状でした。診察で詳細に痛みのある場所を検索すると、腰痛の原因はこの部位の筋筋膜であると判断できました。
そこでエコーをやってみました。背中の超音波画像です。白く幾重にも筋膜が重責しています。
ご本人のご希望もあり、エコー下に筋膜リリース注射をしました。筋筋膜性腰痛には即効性のある良い治療です。
白い筋膜の重責が解除されたところです。この方は注射直後から背部の重感が改善しました。引き続いて温熱、マッサージ、牽引などのリハビリを定期的にしていくことで日常生活には全く支障がないようになっています。
次の例は40代男性です。
詳細に痛みのある部分を診察するとピンポイントに仙腸関節に圧痛があることがわかりました。
マジックで印を付けた位置に特に強い圧痛点があります。
仙腸関節炎の方はこのあたり(後上腸骨棘といいます)に患者さん自身がピンポイントで痛いところを指差せるくらい腰痛の部位が限局しているケースも多いです(仙腸関節炎は村上栄一先生という仙台の整形外科の先生が良質な論文をたくさん出されています)。
超音波ガイド下に炎症を抑える薬液を注射しているところです。
仙腸関節から後仙腸靭帯にかけて薬液が広がりました。
このようにまず仙腸関節ブロックを行った上で温熱療法、仙腸関節マッサージを行っていき、3週ほどで軽快しました。
次の方は右側の印をつけた部分に限局する腰痛で、腰を捻るとこのあたりの痛みが出現している症状です。
超音波を当てて中を見ました。棘突起を左端に写るようにして、椎間関節を描出しました。
椎弓よりも大分上(背側)まで盛り上がっていて椎間関節が変形性関節症になっていることが伺われます。
超音波を見ながら椎間関節に正確に注射しました。
注射直後から痛みは改善され、数回のリハビリですっかり良くなりました。
次の方は数ヶ月前からの腰痛で、前かがみになると強い痛みを感じる症状が続いていました。診察上神経脱落症状はなく椎間板性腰痛を疑わせる所見でした。
詳細に痛みの部位を調べると、椎間板性腰痛の場合当該椎間板後方部に腰痛があることが多いです。このような場合椎間板やすぐ近くを走る神経根にステロイドや局所麻酔を超音波ガイド下ブロック手技で注射をした上で温熱、筋リラグゼーション等のリハビリをしていくと、椎間板や神経根の炎症が収まり、痛みが改善していくことが多いです。
この方の場合2回のブロックを行い、引き続くリハビリによってつらい腰痛は解消しました。
下はまた別の方です。この方は肉体労働をしていて、重いものを持ってから腰を動かせなくなってしまいました。いわゆるギックリ腰の状態ですが、痛みの性質や部位を詳細に検討すると椎間板性腰痛である可能性が高いと判断できました。そこで椎間板や神経根にステロイドや局所麻酔を超音波ガイド下ブロック手技で注射をした上で温熱、筋リラグゼーション等のリハビリをしていく方針としました。
エコーで椎体、椎間板を同定しているところです。
椎体の後側方から観察しています。横突起から椎体、椎間板を観察します。
こうしてエコーを見ながら椎間板や神経の炎症を抑えるブロック注射を行います。
この方は1回のブロック治療と温熱中心のリハビリ、投薬で改善しました。
神経根ブロックでも改善しない人にはPRP注射をお勧めすることもあります。PRP療法は自己血を採取して、血液を遠心分離機にかけて多血小板血漿を作成し、椎間板に注射で戻してあげる方法です。椎間板性腰痛に対するPRP療法は注射後半年で腰痛が半分以下に改善する人の割合は約50%です。